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【はまった曲】ピート・シーガーのプロテストソング(1)『花はどこへ行った』

高校1年の文化祭の時だったと思う。
文化祭であったことは間違いない。
古い講堂があった。
ここで、聞いたのが、ピート・シーガー作詞作曲 中川五郎訳詞 『腰まで泥まみれ』だった。

ふりかえってみると、先にピート・シーガーの『花はどこに行った』という素地があって、彼の歌についての心の間口が広がっていたからこそ、2重にショックを受けたのかもしれない。

そこで、ピート・シーガーについて第1弾として、この世界的ヒット曲『花はどこへ行った』を採り上げたい。

目次

ピート・シーガー 『花はどこへ行った』

ピート・シーガーの『花はどこへ行った』について紹介しておきたい。

ピート・シーガーは、アメリカ合衆国のフォークシンガーで、『花はどこへ行った』は世界的なヒット曲になった。

Where have all the flowers gone, long time passing?
Where have all the flowers gone, long time ago?
Where have all the flowers gone?
Young girls have picked them everyone
Oh, when will they ever learn?
Oh, when will they ever learn?

Where have all the young girls gone, long time passing?
Where have all the young girls gone, long time ago?
Where have all the young girls gone?
Gone for husbands everyone
Oh, when will they ever learn?
Oh, when will they ever learn?

Where have all the husbands gone, long time passing?
Where have all the husbands gone, long time ago?
Where have all the husbands gone?
Gone for soldiers everyone
Oh, when will they ever learn?
Oh, when will they ever learn?

Where have all the soldiers gone, long time passing?
Where have all the soldiers gone, long time ago?
Where have all the soldiers gone?
Gone to graveyards, everyone
Oh, when will they ever learn?
Oh, when will they ever learn?

Where have all the graveyards gone, long time passing?
Where have all the graveyards gone, long time ago?
Where have all the graveyards gone?
Gone to flowers, everyone
Oh, when will they ever learn?
Oh, when will they ever learn?

花々はみんなどこへいった?
長い時間がたったけど?
花々はみんなどこへいった?
遠い昔に?
花々はみんなどこへいった?
みんな乙女達が摘んでいってしまった。
ああ、人はいつになったら学ぶのだろう?
ああ、人はいつになったら学ぶのだろう?

乙女達はみんなどこへいった?
長い時間がたったけど?
乙女達はみんなどこへいった?
遠い昔に?
乙女達はみんなどこへいった?
乙女達はみんな夫達の下に。
ああ、人はいつになったら学ぶのだろう?
ああ、人はいつになったら学ぶのだろう?

夫達はみんなどこへいった?
長い時間がたったけど?
夫達はみんなどこへいった?
遠い昔に?
夫達はみんなどこへいった?
夫達はみんな兵士になった。
ああ、人はいつになったら学ぶのだろう?
ああ、人はいつになったら学ぶのだろう?

兵士達はみんなどこへいった?
長い時間がたったけど?
兵士達はみんなどこへいった?
遠い昔に?
兵士達はみんなどこへいった?
兵士達はみんな墓の下に。
ああ、人はいつになったら学ぶのだろう?
ああ、人はいつになったら学ぶのだろう?

墓はみんなどこへいった?
長い時間がたったけど?
墓はみんなどこへいった?
遠い昔に?
墓はみんなどこへいった?
墓はみんな花に埋もれてしまった。
ああ、人はいつになったら学ぶのだろう?
ああ、人はいつになったら学ぶのだろう?

作詞 ピート・シーガー 補作詞 ジョー・ヒッカーソン 作曲ピート・シーガー 1960年
ピート・シーガーが作詞・作曲したのは、1960年。当初は3番までだった。
その後ジョー・ヒッカーソンが4番・5番を加えた。

日本でのカバー


日本では、おおたたかしの訳詞が有名である

野に咲く花は どこへゆく
野に咲く花は 清らか
野に咲く花は 少女の胸に
そっとやさしく いだかれる

可愛い少女は どこへゆく
可愛い少女は ほほえむ
可愛い少女は 若者の胸に
恋のこころ あずけるのよ

その若者は どこへゆく
その若者は 勇んで
その若者は 戦いにゆく
力づよく 別れをつげる

戦士の眠る その土に
野バラがそっと 咲いてた
野バラはいつか 乙女の胸に
そっとやさしく いだかれる

おおのたかし 『花はどこへいった』

その他に、デューク・エイセス、中原美紗緒、牧秀夫とロス・フラミンゴス、梓みちよ、雪村いづみ、園まり、ザ・ピーナッツ、倍賞千恵子、加藤登紀子、フォーク・クルセダーズ、ザ・リガニーズ、Yellow Magic Orchestra、modern grey、Mr.Children、The Water Of Life、忌野清志郎等、MISIAなど、多くのシンガーにカバーされ、シンガーによっては独自の訳詞もついている。

詩のルーツ ロシア・ウクライナ民謡

ピート・シーガーがこの曲の3フレーズまでを、20分で作ったといった話が伝えられているが、何分で作ったかというようりも、作詞の背景が、ロシアのミハイル・ショローホフ『静かなドン』の一節からヒントを得たとのことで、ロシアのウクライナ侵略に抗議する「奇縁」感も含めて、近年紹介されているようだ。

ショーロホフの『静かなドン』の主人公は、ドン川流域の農奴として育った。
時代は20世期初頭で、主第1次世界大戦とロシア革命によるロシア帝政の崩壊の時代である。
ドン川流域の(今で言えばのウクライナ東部、ロシア西部の地域)は、古くからコサックという独自の改装による自立的な共働体が作られていたが、ロシア帝政によって長年抑圧されてきた。

ロシア革命により、その重石がなくなり突如自立的な共働体として結集を余儀なくされたこの地方で、ソビエトによる社会革命をすすめようとする共産主義運動が展開する。
主人公は、最初はソビエトの赤軍兵士として革命軍に属したがコ、この地域の赤軍がサック軍に敗退し、そのためコッサク兵にまぎれて生きてゆかざるをえなくなり、彼はコサックの部隊を率いて闘うようになる。
ロシア貴族の利権の立場に立つ反革命軍ととも協力し、赤軍と対立するが、やがて革命軍が勝利していく。

Kaloda Duda

ニコライ・ピモネンコ『コサックの出陣』1902

この文中で、ドン川地域の民謡として紹介されているのが次の歌だ。
戦に明け暮れるコサック兵を送り出す家族が、戦のむなしさを歌い続けてきた子守歌だ。

坊やのお守りはどこへ行った?

金でかざった鞍おいた
お馬の番に行きました

お馬はどこへ行った?
ご門の外に立ってます

ご門はどこへ行た?
水が流していきました

水はどこへ行った?
ガチョウがそれを飲み干した

ガチョウはどこへ行った?
芦のしげみに逃げていきました

じゃあ芦はどこへ行た?
乙女が刈っていきました。

じゃあ乙女はどこへ行った?
乙女はコサックの嫁にいきました

コサック兵はどこへ行った?
戦さにでかけていきました

Kaloda Duda

この反戦的な内容をもったウクライナ/ロシア民謡『Kolada Duda』は、ドン川流域のものであったということで、ウクライナ民謡として紹介されて、ロシアのウクライナ侵略に反対する意味で歌われることが増えてきた。

日本でヒットした背景

ピート・シーガーの曲がヒットしたきっかけは、ピーター・ポール&マリーやキングス・トリオによるカバーが大きいといわれているが、当時このような反戦歌がアメリカの大衆の大きな支持を受けたのは、当時の膠着化しつつあったベトナム戦争への批判がアメリカ社会を始め全世界に広がっていたからだ。

中学生の僕は、簡単で美しいメロディーと野の花➡乙女➡夫➡戦場➡墓➡野の花につながる円環風の詩について、とっても綺麗であると思っていた。そしてその主張も。

当時を振り返ると、当時の社会には、そういう美しいものへの憧れが強く存在していたのではないかと思う。
それが若者をフォーク・ソングに駆り立て、僕も影響を受けた。

しかし、ベトナム戦争やその他の数多くの戦争から、私たちは何を学んだのか。
ウクライナだけではなく、世界中で戦闘が行われ、民族抑圧、人権と人命が蹂躙されている。

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